いのいぬ.com

漫画描きが、漫画や絵の事、作品レビュー、セミリタイアなどについて書くブログ

得意なことを練習するのは時間の無駄

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注釈:1年ほど前にやっていたブログで載せるつもりだったものです。

はぁ~。お茶が美味しいねぇ。

えい!こいつ!このっ!

おやおや。ケンジはまた格ゲーをやっておるのか…

くそっ!また負けたー!もうこんな糞ゲーやってられるか!

ボルカニック …

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ばかもーんっ!!!

なにすんだよ!ばあちゃん!!

鍛錬も積まずして負けて悪態をつくとは情けない!

どのくらい情けないかというと。クーポン券片手に後輩を飯に誘っておいて「俺が奢るよ」とか言っておきながら、クーポンの期限が切れててお金が足りない先輩くらい情けない!

うーん。それは確かに情けない

でもばあちゃん!俺めちゃめちゃ練習してたんだよ!でも全然勝てないんだよ!

ばあちゃんは全て見ておった。同じことを繰り返していて…何が練習か!

基礎練習で基礎は伸びない

良いかサトシ

ケンジだよ。ばあちゃん

練習とはできることを繰り返すことではない。

どんなことにも、基礎練習というものがあるじゃろう。誰でもかなり初期の段階で手をつけるものじゃ。

野球にたとえてみよう。わしはぶっちゃけ野球はよく知らん婆さんじゃが。バットの振り方そのものは難しいものではない。ケンジでもできるし、オクラでもできる。

失礼だなぁ。それにオクラには無理だと思う

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しかしその覚えた振り方を1億万回繰り返そうがプロの球は打てない。というのはわかるな?

う…うん。なんとなく。才能が必要だからね

そういう話はしておらん。お前は本当に情けない。どのくらい情けないかというと…

ばっばあちゃん!もういいから先に進んで。

基礎練習というのは、あくまでも基礎の基礎。この場合なら球に当てるためにバットを振るということを覚えるための練習じゃ。しかし実際にヒットを打つためには、相手の球の速度や球威、球種などの打ち分ける力が必要じゃ。

でもそういうのは、基礎が出来てから一つ一つ覚えていくものでしょ?

基礎は「出来た」なんて日は一生来ヌ!!!!

来ヌ!!?

応用トレーニングを経て基礎力を鍛える = 練習

そうじゃ。基礎とはトレーニングによって少しずつ少しずつ積み上げていくものじゃ。最初の段階で基礎を固めてから、なんて言ってるやつは永遠にプロとの勝負をまともに行うことなんて出来ない。

格ゲーもそうじゃろう。それなのにいつまでも「出来ること」を繰り返して「自分は今基礎練習をやってる」なんてちゃんちゃら可笑しい。基礎練習…いや、というかそもそも出来るようになったことは間隔を開けて、継続的に忘れないようにすれば良いだけの話であって毎日繰り返すようなことじゃないのじゃ。

練習とは、出来ないことを出来るようにしていくこと。つまり基礎練習の枠を超えてこそ本当の意味での練習がはじまり、上達の一歩を踏み出せるのじゃ。

で…でもばあちゃん。俺には難しい練習は無理だよ。

本当に馬鹿者じゃな。サトシは。乗り越える壁を乗り越えて初めて人は成長する。無論、高すぎる壁を乗り越える必要はない。そのために今目の前で「ちょっとむずかしい」と思っている課題を克服していくのじゃ。それこそゲームの醍醐味、いや人生の醍醐味じゃよ!

ばあちゃんにはまず俺の名前を覚えるという課題を克服してほしい…

苦手をトレーニング

サトシ。まずお主はなぜいつも負けてしまうのか、その理由を薄々感づいているのじゃろう?

う…うん。確かに。あってるかどうかはわからないけど。自分なりには見えてるつもりだよ。

ではまずその課題をすべてリストアップするのじゃ

ばあちゃんめちゃめちゃ横文字使うよね

死んだ爺さんはアメリカ人じゃったからな

えっ!?じゃあ僕ってクォーターなの!?

しっ!お前の母親にバレると大事じゃ!

ど…どういう事なの…

それより格ゲーの話じゃな

自分の出生に関わりそうな話をされて格ゲーの話なんてしてる心境じゃないんだけど…

そのリストアップした課題を徹底的につぶしていく。これこそが練習じゃ。

えっ!ばあちゃん!苦手な事ばっかりトレーニングするの?得意を伸ばせってアメリカ人はよく言うじゃん!

ばかもーんっ!!!日本人の癖してアメリカを知ったかぶりするじゃない!この日本人が!

ええぇえっ!ばあちゃんだって日本人じゃん!

ばあちゃんの父上は。奉行所御用達の髪結い所の亭主じゃった

だから…日本人じゃん…。というかばあちゃん何歳なの…。

得意を伸ばせというのは、ほとんどの場合大きいカテゴリで見たときの話じゃ。野球が得意ならサッカーより野球をやろう!みたいな事じゃな。基本的に、野球の中で苦手なものがあるなら、徹底的に潰す方が上達する。もちろん、学びによって本来の自分のポジションに影響が出ないのならば、というのはスポーツの世界では大事な条件ではあるがな。

それと、野球の場合なら、ピッチャーやキャッチャーは特殊じゃし、バッターとピッチャーはそもそも同じスポーツ内でもやることが全然違う。だから別々のものと考えてトレーニングしても問題はない。まぁそれでも課題を潰してしまえばShohei Otaniのような超人が出来上がる事もあるんじゃがな。

関連知識がスキル学習を加速化する

でもばあちゃん。実は僕そこそこランキングが上位で自分のキャラクターに対しては知り尽くしてるつもりなんだよ。リストアップしてみたけど…なんだかすごく漠然としてるんだ。

じゃあいっその事、別のキャラクターを1から学んでみよ。

ばっばあちゃん…。さすがに何言ってるんだよって感じだよ。やっぱり格ゲーを知らないばあちゃんにはわからない世界の話だったんだね

ぼるかにっく

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ばかもーんっ!!!

ばあちゃん!縦横無尽に拳に炎をまとわないでよ!

ばあちゃんの父上はファイヤードラゴンじゃった。

髪結い所の亭主じゃなかったの…。

今ケンジはそれなりに中級の領域に足を踏み入れ、その結果「得意の中の苦手」を見つけづらくなっておるのじゃ。

得意の中の苦手?

苦手をトレーニングして基礎力が増せば、「得意の中の苦手な部分」が見えてくる

そうじゃ。物事は多角的に見なければ、わからないという事が多い。じゃから別キャラクターを使うのじゃよ。プログラミングの世界では、別の言語を習得する過程で、メインに使っていた言語の使い方で閃きを得ることがあると聞く。 これはどんな世界でも同じじゃ。応用を通して基礎を固めたように、なにか一つの事に対して、知識や上達が行き詰まっていると感じるなら「関連する事柄」を学ぶすると良い。

それが何になるんだよ?別のキャラクターを使うと何がわかるっていうの?操作も全然違うんだよ?

操作が違うといっても格闘ゲームでのコントローラー操作の範囲内の話じゃろう。それなら、十分に得るものはある。むしろこういった事は、一つのキャラクターが行き詰まる前からやっておく方が良い。その方が関連知識が相互作用する事で知識の蓄積が早くなるのじゃ。

メインに使ってるキャラが、別の操作を覚える事で進歩するって事なの?本当にそんな事ある?

プログラミングの話をしたが、こういった事は当たり前に起こることじゃ。同じ動作をする事より、変化を加えた動作をする方がスキル習得が早くなったという研究もある。また、これは学力でも同様の研究があるのじゃ。単純な反復より少し違ったことを共に学ぶ方が効果的なんじゃよ。

先のバットの話に戻ろう。ただストレートにあてるイメージでバットを振るよりも、カーブやシンカーを知ってそれをイメージしながら振る事で、ストレートを打つ力もまた強化されるということじゃな。言い換えるならば、ストレートを打つ事では気づかなかった事に、カーブやシンカーを打つ事で気づき、それが学びにつながるという事じゃよ。この「気づく」というのが学習の真意でもある。

なるほど。たしかに今のキャラクターを使い続けても、新しい発見は今の僕には難しいかもしれない。だから別のキャラクターを使って、新しい発見をたくさんして、その課題を克服していけばいいんだね!

そうじゃ。そういった多角的な経験によって新たにメインのキャラクターで見えなかったものが見えてくるのじゃ。それに関連情報や基礎力が増える事でさらに学習が加速していく。つまり1人目より2人目のキャラクター方が上達が早く、3人目4人目となれば更に上達は加速していく。無論、習得の大変さを一切感じないほど加速化することは無いかもしれんがな。

そうか!ウメハラは確かに…ストリートファイターだけじゃなく、ギルティもかなり強い…」

コンボゲーと差し合いゲーの違いがあっても、本質のところの格闘ゲームの基礎力は変わらんのじゃろうな。いやむしろ、そのように別の角度でゲームをプレイし学ぶ楽しさを知っているからこそ、今の地位を獲得したのかもしれん。

ばあちゃん。実は格ゲー詳しいんじゃないの?

人と競わない事

最後にサダシよ。お前の嫁があれする前に、言っておきたい事がある

もう何から突っ込めば良いのか。

上達においては、決して人と競おうとするでない!

えぇっ!?何いってんだよばあちゃん!格ゲーで他人と競わないとそりゃもう格ゲーじゃないよ!

よく聞くのじゃ。2014年7月にプリンストン大学で行われた研究で他人との差を埋める事において、練習が寄与する割合が5-20%前後しかないという結果になっておるのじゃ。

なんだってー!天才には勝てないって事じゃないか!練習なんていくらしても無駄なんだ!くそーっ!

ばあちゃんは無駄だとは考えておらん。むしろこれは当たり前じゃ。

希望が絶望に変わっていくよ

大丈夫じゃサトシ。先に説明したとおり練習の本質は時間や量で単純に測れるものではなく、「気づき」を得られるかどうかにかかっておる。多くの気づきを得るためには関連知識の量も重要になってくる。故に、熟練した者がなにかを習得するほうが、まだ未熟なものが習得するより早くなるのじゃ。だからこそ、この研究の通り、確実に個人差というのは現れる。しかし本当のところそれが何によって起こるか、これはまだ、現在の科学でははっきりわかっておらんということじゃな。

でも関連情報を沢山もった上級者の方が学習が早くなるって事だよね?それじゃ、永遠に差が開き続けるって事になるんじゃない?

まぁそれにおいてはスキルには閾値が存在しておってそこから伸びが緩やかになってしまうからから、十二分に追いつけるのじゃが…。その話はまだ長くなるからまた今度しよう。そもそも、追いつけようが追いつけまいがそんな事練習には無関係なのじゃ。

でも格ゲーは相手と競うものなんだ。やっぱり気になるよ。ば…ばあちゃんの言う通りにやってれば追いつける日はくるの?

それは正直、今の科学で断言できんと言っとるじゃろう。じゃが、ばあちゃんは、この「気づき」を増やす方法としては「関連知識(技術)を増やす」事が最も重要だと考えておる。この「気づき」の厄介な所は、他人から教わっても理解できないような、言語化できない微細なものが含まれているという点じゃ。だから己が実際に取り組んで、見つけ、乗り越えていくしかない。こんなものは、おそらく科学で正確なデータを出すのは不可能じゃろうな。言語化も数値化もするのは難しいものじゃ。アートやスポーツの世界だと尚更じゃな。

それじゃ上達するかとか、自分に才能があるかなんてことは、自分がやってみるしかわからないってことだね…

そうじゃな。それに、練習とはそもそも他人を超える事ではない。自分の課題を克服することじゃ。つまり自分との戦いなのじゃ

う…うん。ばあちゃんが空手の師範代みたいになってきた…

練習においてもっとも無駄な時間は、他人と自分の差を見る事じゃ。才能の有無などと下らぬことに頭を悩ませのるもまた、他人あっての事。練習を通してやるべきことは、己の課題を乗り越えること、これ一点のみ。

他人と比べている時間があれば、目の前の課題を潰すことに力を注ぎ込むのじゃ!

わかったか!エイドリアン・ベクシンスキー!またの名をケンジ及びタカシ!!!

はい!!

誰だこいつは!いつから居た!でもばあちゃんがついに俺の名前を!わかったよ!ばあちゃん!俺、明日は今日の自分より強くなる!

その意気じゃ!!!

まとめ

  • 出来る事を繰り返すのは練習ではない
  • 基礎力は基礎トレではすぐ頭打ちする。応用や苦手克服を通して強化していくもの

ばあちゃんの持論
- 練習の質を上げるにはとにかく関連知識(技術)量を増やすこと

練習とは。自分の「出来ないこと(苦手)」を克服する事である

ばあちゃんからのワンポイントアドバイス。

学習にはよく寝る事も大事。お昼に15分程度目をつぶるだけでも学習にはいい影響があるぞい

参考リンク

参考書籍