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【その着せ替え人形は恋をする】と心理学と自己重要感の話

漫画レビュー!

福田晋一先生の作品。その着せ替え人形は恋をする。のレビューです。

 

その着せ替え人形は恋をする の あらすじ

雛人形職人、正しくは雛人形の頭を作る「頭師」を目指して祖父の素で修行中の男子高校生、五條新菜(ごじょうわかな)が主人公。

コミュ障な上に、雛人形以外の事への興味も薄い事で同世代の子達と話が合わず友達も出来ない。

ある日、家の年代物のミシンが壊れた事がきっかけで、学校のミシンを使っている姿を、ギャル喜多川海夢(きたがわ まりん)に見られてしまって…

という話。

その着せ替え人形は恋をする の感想

※※※ ここからは若干のネタバレを含む可能性がありますので、作品をご覧になっていない方はご注意ください。

1,2巻同時発売の作品ですが、ボクはまだ一巻しか読んでません。

一言で述べるならば、「好きなものなら、好きって言えばいいじゃない?」って主張を感じる作品。あと、ヒロインギャルがクソ可愛いです。

ヒロインの喜多川さんはオタクコンテンツ大好きのギャルJK。

まぁこの手のギャップは今でこそ色々なところで見かけますから目新しくはないのですが、オタク男子の夢的なヒロイン設定ですよね。

そして、喜多川さんは、オタク趣味を一切隠そうとしない。

それが主人公の「雛人形への愛情」を隠しているところと対比になって、主人公に「自分が好きなものを、好きである事を自分に赦す」気づきを与えてくれます。

五条くんは、幼い頃に「女の子の人形が好きなのはおかしい」と友達の女の子に言われてしまうみたいで、それがずっと頭に残っているみたいですが、喜多川さんとの出会いでこのひっかかりが変わってくるんでしょうね。

2巻以降も楽しみです。

心理学にかけあわせて考察してみる

アドラー心理学の本で「嫌われる勇気」って本がベストセラーになりましたけど

承認欲求を捨てて共同体感覚を身に着けろってのがアドラー の主張ですよね。

自分を出す事で「嫌われてしまう」「おかしいと思われてしまう」という事への恐怖心を持つのは承認欲求からくるものかと思われます。

ただ、この作品の場合、学校という狭い世界にシステム上縛られてしまう学生という身分をを考えると、社会的欲求と捉える事もできます。

五條くんは「雛人形の職人」を目指し、雛人形を愛しているという思春期男子にとっては少々変わった嗜好を持っているので

この趣味を吐露する事は承認欲求はもとより、社会的欲求をも失う可能性を秘めているわけですね。これは大きな悩みだ。

場合によってはいじめられるかも。そうすると安全欲求まで脅かされてしまう。

学校とは恐ろしいところですね。話ずれましたが。

外の世界で考えるなら、社会的欲求は、雛人形趣味を持つ人たちや、その趣味を理解してくれる人たち。仕事として認識されることで十分満たされます。もちろん安全欲求が脅かされるような自体にも基本的に発展しないでしょう。

学校という世界において、五條くんがこの趣味を暴露出来ない恐怖は、ただ幼い頃の出来事だけではなく、身を護る手段として適切な対応とも考えられます。

 

 アドラー的にも、社会的にも五條くんのレア感は有益なものなので、発言する事がベストですが、それは学校という現場においては適当とは言えない。改めて思春期にこの仕組を適応する必要ってあるのかなぁとかそんなことを思ったり。

しかし、そんな五條くんも今後少しずつ、自分を出す方向に話は進んでいくのだと思います。ヒロインとの関わりで。

自分のオタクな趣味を、しかも趣味と正反対のギャルグループに属したままで主張する喜多川さん。

嫌われる勇気を持っている、承認欲求に振り回されていない存在。

そんな喜多川さんの夢は更に上を行っていて。なんとコスプレ、しかも大人向け(あえて表現を濁す)のゲームの。マズロー的にはこれは自己実現 の欲なんで最上段の欲求ですね。

喜多川さんにとっては、他人に承認されることより自己実現のために生きる事が重要なんですね。楽しく生きてそうな子だ。

そこに五條くんが価値観のゆるぎを感じるのは仕方ない事ですし、その喜多川さんが雛人形について知った時、それを認めてくれた事にまた心が動かされる様子。

人のことを認めるってのは人付き合いの上で非常に重要なポイントだって言われてますよね。

自己重要感を満たすってのは名著、デール・カーネギーの「人を動かす」にも語られていますが、この本はタイトルが損してんなと思うビジネス視点での人付き合いの名著ですが。人の心を満たす事は相手にとって自分の価値を、そして自分の価値を相手に対しても高める要はお互いの距離を縮めるポイントとして重要です。

喜多川さん自身が「オタク趣味」という世間的にあんまり大っぴらにし辛い(最近はそうでもなさそうだけど)趣味を持っているので、他人の趣味にケチつけるなんてありえないと思ってるんでしょうが、

五條くんにとっては喜多川さんの存在は、過去に自分の趣味を否定された体験からの救いなのかもしれません。

なんてね。浅い知識でこじつける的な。この方面だと結構語れる…。

一応創作畑の人間なんで、読んだりみたりした作品のレビュー的なアウトプットも今後やっていきたいなと思ったりしてますので、どうぞよろしくお願いします。

自分の趣味を恥ずかしいと思ってしまう人は是非読んで

そんなわけで、自分の趣味や、嗜好をうまく外に出せない人。他人の趣味嗜好を認められない人は一度読んでみてください。

上の心理学的観点も改めて学習してから照らし合わせて、なぜ五條くんにとって喜多川さんが輝いて見えるのか、それを確かめてみると何か発見があるかもですよ。

なんてね。